あひるの空ヘビーローテーション+

日向武史先生の『あひるの空』が好きすぎて、ネタバレしすぎない程度に考察してます。

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「兄貴、凄いこと気づいたよ。表紙のルールが分かったんだ」

「兄貴、凄いこと気づいたよ。表紙のルールが分かったんだ

まえがき

たった今読み終わった。イイ。

伊坂幸太郎先生の『重力ピエロ』の一節でこんなのがある。

どんな事柄にも意味があると思うのは人間の悪い癖だよ。原因を探そうとするんだ。犬や猫は結果にしか興味がない

僕は犬や猫をかすめてすらいない。こんなブログを書いてる僕は、人間ド真ん中(笑)

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伊坂幸太郎作品読破運動をぜひ一緒に

「兄貴、凄いこと気づいたよ」

*1ならこう会話を切りだし、さらにこう続けるだろう。

「表紙のルールが分かったんだ」

ハイ、またです。

またですか、あひろてさん。

と皆さんに呆れられてしまいそうですが、『重力ピエロ』読了の余韻のままに今日のブログを綴ります。

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

伊坂幸太郎作品読破運動を進めてかれこれ数か月が経ちました。『重力ピエロ』は伊坂幸太郎先生の4作目の作品です。他の伊坂幸太郎ファンにオススメされるがままに手に取ったり、この記事でまとめた伊坂幸太郎作品評価ランキングのランキングを気にして読んだりしてますが、デビュー作からの順読みを主軸にこの運動を進めています。

どなたかこの運動に参加されませんか?

だってばよ、この前の日向武史先生のこのツイートみた?

日向武史先生の”サプリメント”が、伊坂幸太郎先生とミスチルの桜井さんにあるというではないですか。

僕はミスチルファン歴25年でミスチルサプリは摂取済み。あとは、伊坂幸太郎先生の言葉遊びを掻い摘めば、あひるファンとして新境地へ行ける気がするじゃん。読み切れなかった『あひるの空』の行間が読めてくる気がするじゃん。そんな思いで、さらに力を入れて伊坂幸太郎作品読破運動を進めて参ります。

是非、僕と一緒にあひるファンの新境地を目指しましょう。

bookmeter.com

『重力ピエロ』ごっこ

春が僕の中に落ちてきた。*2

何事にも影響されやすい僕は、”『重力ピエロ』ごっこ”を始めてしまいました。今日はこの調子でずっと。

あひるの空(43) RAINDROP NARROW DOWN[the second] (週刊少年マガジンコミックス)

表紙のこと。

僕は普段からこのあひるの空という漫画を”自分の作品”と称すことが多いのですが、マガジンという商業誌で連載して本を出させて貰っている以上、本当は”会社の商品”という解釈が正しい訳で。

その間違った認識は、きっとこういう仕事をしてる人達にとっては少なからず共通の葛藤だと思います。

今はこういう時代だし。
アニメ化も実写化もせず変な限定版も出さないし帯も付けない。飾りのないタイトルロゴだけのシンプルな”商品”がどれくらい売れるのかは、もう中身が面白いか面白くないかでしか決まらないんじゃないかと。

決して自信があってやってる訳じゃなくてね。
ある意味その逆なのです。

ストーリー的にももちろん意味はあるんだけど、それはまたそのうち…いずれ分かる事かなと思うので。

僕は、『重力ピエロ』を読み終え、ふいに日向武史先生の言葉を思い出した。

「ストーリー的にももちろん意味はあるんだけど、それはまたそのうち…いずれ分かる事かなと思うので」

「兄貴、やっぱりルールがあるんだよ」

「あれは間違えではなかったんだ」

なぬ?やっぱりストーリー的にも意味があるだと?誰がやるんだ?俺がやるっきゃないでしょ~そんな意気込みを抱え、43巻発売当初は表紙について考察をする気満々でいたと思います。が、いつの間にやら見なかったことにしてた。

あれからさらにどんどん新たな表紙も公開され、「次は何色だろう」と予想を楽しむこともしなくなっていた。

慣れとは怖いものだ。

風呂上がりに裸で部屋をウロつかれて、目の前にある女の裸体にピクりとも反応しなくなったまもなく結婚10年目の旦那を思う。つまり、僕だ。

そして、同時にあの少年を思い出す。勇気を出してエロ本を買ってるあの少年だ。

エロ本のジャケ買いで興奮し、レジに持っていくまでの過程に興奮し、レジ選びに興奮する。それを家に持ち帰ることに興奮し、どこに隠そうかを受験に悩んだ時くらい悩み、次はいつ安全なタイミングでそのエロ本を十分に堪能できるのかを逆算し、1冊のエロ本で元が取れるくらい興奮に興奮を重ねていた少年を思う。つまり、僕だ。

「兄貴、あれは間違えではなかったんだ」

「あれ」とはエロ本少年のことではない。この↓ことだろう。春は考察を続けていた。

blog.ahirunosora.net

43巻初読みで思いついたまま根拠も不十分に書き殴った僕の記事だ。今読み返せば、読み物としては酷い。久々に読み直してみたが書き直したい。でも、かの井上雄彦先生は言っていた。

「もうさんざん下手なところを晒してきているんで、今更戻ってもしょうがないし、たぶん書き直したからと言って、当時のものよりもいいものにはならないと思うんです。絵のスキルは上かもしれないけれど、その時の空気、キャラクターの表情や気持ちにしても、何を信じているかにしても、きっと、全部この時じゃないと出ないものを描いているんです。だから今の自分が描いても、嘘になってしまうので、絶対超えられないと思うんですよね。単行本化にあたっても加筆修正をあまりしないのも同じですね。」

引用:

漫画がはじまる

漫画がはじまる

僕も当時のあの熱量で書き綴ったこの記事をこれから加筆するとなれば、またよく分からない文章が生まれてしまう気がした。だから、そのままにしておくことにした。

現在48巻、妙院戦も佳境に入り、この考察も破綻の一歩を辿り始めている。一縷の望みを未だ抱いているが、それは「千円くらいは当たるだろう」と2百円のスクラッチくじを宝くじ販売店を見つけては気軽に買い続け、かれこれ20回目もハズレくじを引いてその確率の低さを知りながらもついつい21回目を買っちゃう気持ちと同じに思えた。

16

「兄貴、俺は16だ」

春は唐突に自分は16だと言い張った。いや、春は27歳という設定だ。映画では23歳という設定らしい。

と、数字を聞いて年齢だと思うのは日本人だけなのだろうか。日本人はいつもどこかで歳を気にする。

「あらま、まだお若いのに」

我が家にくるセールスたちは口々にそんなことを言う。家ぐらい僕だって買える。義父の土地に箱を建てただけだ。都内の駅近の分譲マンション買った友人にしたら、コンビニでアルバイトしても返せる借金だねと言われるくらいなのだから。

いや、それよりだ。

映画の情報は小説を読み終えた後も、自分の中に取り込まないようにしていたのに、春の年齢設定を調べるがためにググってしまったのが間違いだった。

重力ピエロ - Wikipedia

春、お前は岡田将生だったのか。

名前だけなら分からなかった。しかし、Wikipediaは今、名前にポインターを置くだけで画像までご親切にポップアップされるのだ。泉水役の「加瀬亮」には幸いなことに画像が出なかった。僕は加瀬なら「大周」くらいしか頭の中にポップアップされない。助かった。そこだけはホっとできた。伊坂幸太郎作品読破運動中の今は、小説の世界は小説の世界で真空パックして、僕はその匂いを閉じ込めておきたいのだ。映像の匂いは、ニンニクくらい強い。

ベスト

どうやら春の言う16には頭に「ベスト」が付くらしい。

春の春か。

僕は桜の舞い散る中、グレーのベストに赤いネクタイをした垢ぬけない高校生になりたての春をイメージした。もちろん、そういうことではないらしい。

「兄貴、4強は間違えなんだよ」

おろろ、「間違えではない」とついさっき肯定してくれたばかりではないか。飴と鞭・・・僕が嫌いな言葉だ。

飴を与えられていたのは「子ども」だったのだろうか、鞭を打たれたのも「子ども」だったのだろうか。子どもの頃に考えたことがあった。現代ではこうして何も考えず普段使う言葉も、その言葉の背景を考えてみると、実はおぞましい光景が描かれることもある。

また人間の悪い癖が出てしまったと、僕は春の言葉に耳を傾けなおす。

春の話によればこうだ。

「あれは神奈川4強ではない。”神奈川4強も含まれる”という考察が正しいんだ。遊びが必要だったんだよ。だとしたら、神奈川ベスト16だ」

そう話す春の姿に、あの特ダネの話をされた時の力強さを感じた。

『とくダネ!』の特ダネ

小学5年生の時に県の油絵コンクールで大賞に選ばれた春*3が、「単行本1冊を通して感じる色が表紙の色を表しているのだ」と言えばそうなのかと納得をしてしまうところだが、春はそうは言わないと分かっていた。

「兄貴、日本は世界で一番平和な国なんじゃないか? たったあんだけのことを『とくダネ!』でニュースにしてしまうんだ。朝一番の特ダネがこんな国、他にどこかあるのか?」

www.piconyan.net

春は「人によって見える色なんて白でもあり、黒でもあるんだ」とそのニュースを見たと言い切った。

油絵のコンクールで大賞を取った春だからこそ、この言葉に奥深さを感じた。

僕は「どうみてもピンクと白だろ」とTVに向かって回答するのをためらった。

「足したら50になったんだ」

単行本のシンプルな表紙は、偶然にも白と黒から始まった。

あひるの空(35)

「えっ?これは実は白と黒じゃない。とでも?」

「なに寝ぼけたこと言ってるんだよ。これは列記とした白と黒だ。それより足してみるんだよ。俺の16に足したら50になったんだ」

僕はもうすぐ35だが、まだ誕生日を迎えていないので34歳だ。「春の春」を足せば、確かに50歳だ。

この考え方には飴をもらえた。

しかし、次に何かを言ったら春からケツにバチンと鞭が振り下ろされる気がして口ごもった。

そうか。

50巻だ。

春の言わんとしていることがようやく分かった。

25×2=イェー

25×2=イェー

僕はまたこの数式を頭で計算し、そしてまた、残念な気持ちになっていた。

あひるの空(25)

メガネ歴15年。僕は25巻の表紙画を「罰ゲームでスカイダイビングに向かう奈緒ちゃん」ということで片づけることにしてるんだが、あのメガネの位置関係は完全におかしい。手に取る度に思う。本来、フレームは鼻の頭に向かって伸びて、レンズは目と鼻の間に位置しなければならない。

せっかくの奈緒ちゃんのカラーかつアップの画。なんで、あんな眼鏡をかけさせてしまったんだ。。。

25巻を手に取ると、いつもそんな残念な気持ちになる。

そして、同時に思い出すのはあの言葉だ。「イェー」

たぶんきっと、おそらくだけど・・・・

この漫画50巻までいく(笑)イェー

日向武史先生は巻末でこうコメントした。日向武史先生は25巻の単行本化の作業中、これまでがむしゃらに走り続けてきたけど、一度そこからゴールを見つめてみたんだと思う。そうしたら、作品はただ折り返し地点に辿りついただけだった。同じ距離を戻る気がして「50巻」と言ったのだと僕は思った。「イェー」と言いたい気持ちが分かった。

そして現在48巻まで発売され、かすかにも見えなかったゴールが今、手の届くところまできている。

「日向武史先生の中で”50巻”という数字を持つ単行本は特別なものになるんだ」と、25巻を手にいれた当初、奈緒ちゃんの表紙画の残念さを嘆いている僕の横で、春が言っていたのを思い出した。

50巻-35巻=15巻

あれ?15じゃないか。

「兄貴、植木算だよ」

僕はこの手の計算が苦手だった。

一直線上に立っていて、両端にもある場合:

木の本数=木の間の数+1

??=15巻+1巻

カラフルに上へと積まれた16冊の『あひるの空』を思い、僕は崩れるんじゃないかと心配になった。

「バガだな」

春の言う通りだ。

僕はいつもこうして洗脳とも似た納得をした。

よくよく考えれば、僕の考察に足されたチームカラーと言えば、48巻=妙院だけということだけじゃないか。その他のチームはカラーになったことはこれまでない。

あひるの空 BURNOUT DUPLICATE(48) (講談社コミックス)

妙院VS九頭高のカラー画

間の―この手の計算は苦手だ。間の数冊の色がどこどこのチームだとは春は言わなかった。

ただ僕は、”50巻”という数字を持つ単行本は特別なものになるということについては、今でもすんなりと受け入れていた。

「バガだな」

「兄貴に向かって馬鹿とはなんだ」

あの時一瞬険悪になりかけたのを思い出した。

井上雄彦先生の『バガボンド』の「バガボンド」のフォントがストーリーの転換期によって変わっているのは、『バガボンド』をかじっている人ならご存じかと思う。

『バガボンド』のフォントの違いと転換期

春はこのことを言っていたのだった。

「51巻が楽しみだ!」

25×2=イェーを思い出すと、春のあの時の目を思い出す。目を輝かせるという言葉がふさわしいくらい、目を輝かせていた。

妙院戦もあと2冊使って描かれるだけの話の膨らみを持っている。

50巻に近づくにつれ、春の言う通りになる気がしていた。

<つづく>にしてみる

「兄貴、大変だ。種まきを忘れていた」

<つづく>それっぽく、引きを入れてみました(笑)
↓↓↓

blog.ahirunosora.net

体育会出身者の為の転職エージェント【スポナビキャリア】

*1:伊坂幸太郎『重力ピエロ』の主人公の弟

*2:『重力ピエロ』の始まりのフレーズ「春が二階から落ちてきた」を拝借しました。

*3:春は美的センスを持ち合わせているという原作の設定です。